時計の針がちょうど二本とも真上を指している。

夜の0時。

家の中には私一人。

シーンと静まる空間には私が本をめくる音だけが響く。

そろそろ寝ようかと、本に栞を閉じ布団に潜った時。

ガチャリと玄関の扉が開いた音がした。

その音を聞き、そっと布団から出て音のした方へ足を向ける。

リビングに行くと、冷蔵庫が開いていて明かりが漏れていた。

「おかえりなさい」

そう投げかけると、

「あぁ」

ゆっくり私に近づいてくる人物。


「まだ起きてたのか」

お腹に手を置き、優しく撫でる手。