「な、……どうしたの?」


"何しに来たの?"


咄嗟に口をついて出そうになった言葉を飲み込んだ。弥一と最後にあったのは、私がファーストキスを手放した日で。


あれっきり、1度も顔を合わせていなかったせいか、上手く弥一に対応できない心が疼く。


「……こないだは、ごめんな」

「そのことなら、もう」

「俺がよくない」


あの日の弥一とは違う。
私がよーく知ってる、大好きだった弥一がいる。

あんなことして、あんな言葉で私を簡単に傷つけたのは紛れもなく弥一なのに


なのに、"ごめん"の一言で
全部許してしまいそうになるのはどうしてだろう。



「……あの後、ずっと後悔してた。芽唯のこと傷つけただろうなって思ったら、夜も眠れなくなるくらい」


そう言いながら俯く弥一の言葉が、私には嘘には思えなくて。


それがまた、私を苦しめる。


いっそ、どこまでも……どこまでもひどい人になってくれたら良かったのにって思う。


そしたら私は、本当に心の底から今度こそ弥一のことなんか嫌いになれたのに。