もう、我慢すんのやめた



***



「あっつ」

「……さすが夏休み、すごい人だね」



萌菜いわくハグの日、8月9日はすぐにやって来た。


あの日、男気じゃんけんで勝ち続けてしまった佐倉はまんまと買出し班に任命されて。


「佐倉の歓迎会なのに買出しとかウケる」なんて言ってしまったのが運の尽き。

”相方、誰か1人選んでいいよ”って言う萌菜の言葉に、佐倉は迷わず「松永」って即答した。



「たこ……って、何に使うんだよ」

「えー!もちろん、タコ焼きでしょ!タコパ」

「へぇ〜、やったことねぇ」



……そして今はちょうど、夕方からの歓迎パーティに備えて、佐倉と2人きりで近所のスーパーまで買い出しに繰り出しているところ。

きっと今頃、萌菜はテツと会場設営中のはず。

今日来るのは臨海研修の時のメンバーで、紗蘭ちゃんの恋を応援するべく、萌菜がテツにうまいこと言って飯田くんも来ることになっている。

この手のことに関しては、萌菜の右に出るものはいない。


パックに入ったタコを眺めながら「どれでもいい?」なんて言ってる佐倉に


今、改めて佐倉と一緒にスーパーにいることを実感させられた。