もう、我慢すんのやめた



なんて思ってたのに。


「おじさんの店、借りれることになったから改めて佐倉の歓迎会やろう!」

「佐倉の歓迎会?」



放課後、人もまばらな教室で萌菜がそんなことを言うもんだから

つまり夏休みも佐倉に会えるのかぁ……

なんて、少し嬉しく思ってる自分に驚く。


さっき考えてた”会えない”とか”会わなくて済む”とか言うやつ。あれは結局、前者だったんだろうな。


夏休みに、佐倉に会えないことを
私は少なからず寂しく思っていたってこと。


「そ!おじさん新婚旅行で3日くらい店空けるんだって。その間なら好きに使っていいよーって言ってくれてさ」

「おじさんのお店って、萌菜のバイト先のカフェだよね?」

「そうそう!せっかくの夏休みだし、みんなとの思い出も欲しいところじゃん?」

「それで、佐倉の歓迎会?」

「ほら、佐倉も呼べたら芽唯も嬉しいじゃん?」


ニッと笑ってそんなことを言う萌菜に、ギョッとする。


だって、教室にはまだテツたちと一緒に佐倉も残ってるから。……億が一聞かれでもしたら無理すぎる。