私が目を逸らしてからも、少しの間、佐倉からの視線を感じたけれど
私は気付かないフリを続けた。
佐倉の胸で泣いてしまったあの日から、何故か分からないけど佐倉を意識してしまっている自分がいる。
だけど、これを恋愛感情と呼ぶには程遠くて。
きっと弥一以外の男の人と、あんな距離になったことないから心が勘違いしたんだ。
そうに決まってる。
「いいかー、浮かれて交通事故に巻き込まれたり、ガラの悪いヤツらに絡まれることのないように!しっかりケツの穴閉めて生活しろよー」
モアイが締めの言葉として投下した言葉に耳を傾けて、ちゃんと聞いてましたみたいな顔をすれば
キーンコーンカーンコーンと、タイミング良く一学期の終わりを告げるチャイムが鳴った。
夏休みになれば、佐倉とはしばらく会えない。
……会えない?いや、それじゃ会いたいみたいだな。
しばらく会わなくて済む。
って、これじゃやっぱり意識してるみたいだし。
「休み明け、制服着崩してきたやつ即丸刈りだから覚悟して登校しろよ〜解散〜!」
……今はとにかく、明日からの夏休みを謳歌することだけ考えよう。


