佐倉が、私の事を”友達”って言った。
それが、こんなに嬉しいなんて思ってもみなかった。
「友達……って、だってコイツ」
「女だよ」
”言いたいことなら分かってるよ”とでも言いたげに、静かにそれだけ呟いた佐倉に
佐倉のお兄ちゃんは目を見開いて絶句してる。
でも同じくらい、私も目を見開いてると思う。
「ありがとな」
って、私に向けて呟いた佐倉は、熱のせいかフラフラとその場に座り込んでしまった。
「佐倉……!うわ、ひどい熱。もう部屋、戻らないと」
触れたおでこはヤケドしそうなくらい熱くて、こんなに熱があるのに無理させちゃったな……ってすぐに後悔が襲う。
だけど、佐倉の言葉が嬉しくて、こんな時だって言うのに私の胸はやけに満たされた気持ちだ。
「……あの、突然来てすみませんでした。佐倉、早く寝かせて上げてください」
「……松永さん、だっけ?ごめんな」
「え?」
「海登に女の友達がいるなんて、驚いた。風邪移すと悪いし、コイツ元気な時にまた来てよ」
バツが悪そうに呟く佐倉のお兄ちゃんは、さっきまでと別人で。不器用なところまで似てるなって思った。


