「泣きそうな顔してるワケも、泣いたワケも、無理して笑ってるワケも。何一つ言えないような”友達”なら、この先ずっと願い下げだ」
「っ、」
佐倉の言いたいことはよく分かる。
そんなの、友達じゃないって言いたいんだ。
嬉しいこと、楽しいこと
辛いこと、悲しいこと
全部、共有して分け合えるのが友達だって。
だけど、
そんなの、きれいごとだと思う。
誰だって、言いたくないことの1つや2つあるよ。
「言いたくねぇなら、俺の前で泣きそうな顔なんかすんな」
「だから、してないってば!」
「お前のことは自分でも不思議なくらい気になるんだよ。……放っておけない」
「……佐倉?」
「ここで引いたら、俺の知らないところでまたお前、1人で泣く気がする」
「なんか、それは嫌なんだよ」そう続けて、私の手首をギュッと強く握る佐倉。
「触って平気なの?」
「……平気じゃねぇよ」
やっぱり、その顔はみるみる赤く染まる。
初めて会った日と変わらない、耳まで真っ赤な佐倉の顔。


