もう、我慢すんのやめた



全然、ついていかない思考回路。
まだ何も整理できてない。


「見間違だよ!泣いてないよ、私」


明るめの声でそれだけ言ってから、佐倉には視線も向けずにスタスタと歩き出す。

校舎から1歩外に踏み出せば、どんよりした雲が今にも雨を連れてきそうな空模様。


そうだった。
雨降りそうなんだっけ……。


急いで帰らないと、傘ないし。
濡れたりしたら最悪。



「……じゃあ聞くけど」

「え?」



先に外に出た私を追いかけるように出てきた佐倉に、今日の佐倉はしつこいなぁと思う。


「結局、なんなの?アイツ」

「な、何って?幼なじみだってば」

「……本当にそれだけかよ」

「当たり前じゃん、他に何があるのさ」


佐倉から距離をとるように、さらに数歩進む。
あくまでも明るく努めて、”全然大丈夫”を装えば


「お前にとっての友達って、所詮そんなもん?」


低くて冷たい声が、ズシッと私の心を潰した。


「……さ、くら?」

「お前なら”友達”になってもいいかもって思ったけど、お前にとっての”友達”って所詮そんなもんかって聞いてんだけど」

「そんなもんって……」