でも、現実は。
もっともっと、ずーっと残酷だった。
”なぁ、芽唯……俺のこと慰めてよ”
じわり、涙がにじんで視界がボヤける。
慰めて?……何それ、ムカつく。
私が弥一を好きって気持ちを利用して
ただ、弥一の寂しさを紛らわせたいだけ。
私の気持ちは、報われない。
小さい頃から誰より近くで育ってきたのに、私と弥一はきっと、一生交わらないところで生きてる。
それが、こんなにも私を傷つけた。
生徒玄関について、自分の下駄箱へと急ぐ足を
「……話、終わったか?」
低く届く、心地いい声が止めた。
「な、……なんで」
「人の親切をあんな言葉で突き放すのはどうかと思うけど?」
「っ、」
「って、あの日お前が言った意味ちょっと分かった」
「……ごめん、佐倉」
私の下駄箱とは通路を挟んで向こう側に、下駄箱に寄りかかるように立っている佐倉は
それ以上、近づくでもなくそこからただ私を見てる。
きっと、うっすら浮かんでた涙には
気付かれてないはず。


