もう、我慢すんのやめた



「俺、別れた彼女のことすげぇ好きだった。なんなら、今も。……でも、重いって振られた」

「……っ、だから?同情して欲しいってこと?」


フッと自嘲気味に笑って遠い目をする弥一に、ギュッと胸が締め付けられるのは


どこかで、弥一を好きな私が疼くから。


「俺なりに大事にしたつもり。記念日も忘れず祝ったし、部活がない日は絶対デートしたし、できるだけ毎日マメに連絡してさ?」


聞きたくないんだよ、そんなこと。


「初めてキスするとき、柄にもなくすげぇ緊張したし。もちろんそれ以上も……」


聞きたくない、聞きたくない。
そんなこと、私に話してどうしたいだろう。


「何より…… 絶対俺に気がある芽唯を遠ざけてまで大事にしたのに」

「っ、」

「こんなことなら、芽唯にすればよかった」


……淡々と紡がれる言葉。
大好きな声で、聞きたくないことばかり聞かされる。


”芽唯にしとけばよかった”


その言葉は、今日まで心のどこかで弥一を想ってた自分にとって1番の衝撃。


悔しくて、悔しくて……悔しくて。
結局、今も弥一が好きなのは元カノで。


弥一が求めてるのは


「なぁ、芽唯……俺のこと慰めてよ」


”私”じゃない。