微笑ましいやら、羨ましいやら。
だけど1番は、2人が両思いだって分かってすごくホッとした。
「んー?どうだろ、あんまり萌菜をいじめると口が滑っちゃうかも?」
「うっわ、まじかよ……!よりによって芽唯にバレるとか今日占いでさそり座最下位だわ」
最後の最後までテツをからかって遊んで、占いがどーたら嘆くテツに乙女か!って心で突っ込みながら
「じゃ、呼ばれてるから行くね」
なるべく平常心を装って背を向けた。
本当は、弥一のところに向かうのが怖くて
誰かに行くなって引き止めて欲しい。
弥一に会ってしまえば最後、
きっと、また……
私の気持ちは弥一に向かって走り出す。
辛いのに、苦しいのに……。
もう恋なんて、したくないのに。
弥一も私のこと好きになればいいのにって、願わずにはいられなくなる。
いっそ、非常階段なんて行かずにこのまま帰っちゃおうかな。そしたら、またいつも通りの明日が来るから。
「松永」
教室の入口を出て、数歩進んだとき。
後ろから名前を呼ばれて、無意識のうちに振り返った。


