もう、我慢すんのやめた



何かを踏んだんだって思ったのとほぼ同時に


「ってぇ……バカ」


痛がる佐倉の声が足元から聞こえた。


「さ、佐倉……?」

「……イノシシかよ」

「イノ……」



シシっ…て。
何それ、ひどい。


「ご、ごめん。目が慣れなくて……」

「ここ俺の布団だからよけろ。寝れねぇだろ」


そう言うのが早いか、布団をかけ直して私に背を向けた佐倉はそのまま寝る体勢に……。


「え?佐倉、枕投げしないの?」

「しねぇよ」

「なんで?みんなでやろうよ!どうせうるさくて寝らんないよ」


寝てる佐倉目掛けて
投げた枕が飛んでくるかもしれないし。

絶対起きてた方がいいよ。


「…………」

「ちょっと、無視?もう……!」


薄々、萌菜が枕投げすることになってるって言ったときから、佐倉は嫌そうだなって思ってた。


だから、この反応は私的には想定内だ。
布団の中で丸まってる佐倉を見ながら、やっと目が暗闇に慣れてきたな〜って思う。


「佐倉は何回誘ってもそんな感じでさ!ま、残りのメンバーで楽しくやろうぜ!」

「いえーい!部屋に女子がいる〜!!」