もう、我慢すんのやめた



───ガチャ


「お、無事に来たな」


ドアノブを押し開いて、雪崩込むように中へ入れば薄暗い明かりの中で

向こうからテツの声がした。


……こっちは、命がけで来たってのに。
その余裕な声はかなり癪に障る。



「普通、女子にこんな危ないことさせる!?テツたちが2階に来ればよかったのに」


それは萌菜も同じだったらしい。


"そしたら、もしバレても男子が勝手に訪ねてきたって言えばそれで済むし"


そう続けた萌菜に確かに、と思う。
同時に、最低にクズだな〜とも。


「うわ、相変わらず性格悪いなお前!」

「はぁ?……テツにだけは言われたくないわ」


会って早々喧嘩できるの、一種の才能すぎる。



「とりあえず、こっち来て座れよ」


明るくすると先生たちにバレるかもしれない。
とは言え、部屋の中が薄暗くて何がなんだか……

廊下も暗かったけど、窓の外からの月明かりとか非常口のランプとか


今思えば部屋の中よりずっと明るかったんだな。
一向に目が慣れない。


「っぉわ!?」


言われるがまま部屋の奥へと進めば、なにやら足に柔らかい感触。