もう、我慢すんのやめた


それからすぐに消灯時間は過ぎて、先生たちの"早く寝ろよ〜"って声と共に廊下まで真っ暗になった。


それを合図に、待ってましたとばかりに萌菜が口角を上げる。


「ほ、ほんとに行くの?」

「当たり前でしょ〜?やっばい、ワクワクすんね」


不安そうな紗蘭ちゃんとは裏腹に
萌菜はなぜか生き生きとしてるし。


「……問題は、男子の部屋ってとこだよね」


女子同士なら最悪バレてもどーにかなりそうだけど。

よりによって男子……。
しかも、女子は2階で男子は1階。

学年主任の通称モアイがいるのも……1階。


【モアイに悪事がバレたら男女問わず、バリカンで丸刈りにされる説】を検証するチャンスが到来してるわけだけど。


全くもって、そんな検証したくないし。
微塵も笑えない。


いやほんと、お願いだから見つかりませんように。



両手を擦り合わせて必死に神頼みする私に

"なに、ハエに憧れてんの?"


なんて真顔で言ってくる萌菜が今はウルトラ憎い。
それ見て苦笑いする紗蘭ちゃんは、この期に及んでウルトラ可愛いし。


ほんっと、世の中不公平だよね。