「佐倉も!突っ立ってないでこういう時はちゃんと否定するの」
「……別に、どうでもいいし。めんど」
2人の時は、少し縮まる距離も
みんなの前ではまたゼロになる。
こんなんじゃ、永遠に仲良くなれないよ。
佐倉攻略にもセーブ機能があればいいのに。
「まーた、そうやって……」
隣の佐倉を肘で小突く。
ドスッと鈍い音がして、佐倉に触れてから
あ……と思ったけど
私が触れたことに対して特に佐倉は何も言ってこなかった。
「変に否定した方が、周りは盛り上がんだよ」
「そういうもんかな?」
言われてみれば、男子との関係を冷やかされたのはこれが初めてかもしれない。
だって、いつも簡単に友達になれてしまったから。
佐倉みたいに友達だって認めてもらえないまま、宙ぶらりんの関係を続けてるなんて
私にとっては新しい試みだ。
「てか、お前ら普通に話してるじゃん」
私と佐倉を交互に見て、テツが驚いたみたいに呟く。
「……こいつ他より平気っぽい。多分、女って感じがしない」
「はぁ?」
朝言ってた、"お前は少し平気かも"ってやつも
あれ、こういう意味だったの?


