もう、我慢すんのやめた



佐倉が転校してきてから
今までからは想像もつかないくらい

小さなことにも喜びを感じてる私がいる。


「佐倉って、案外優しいよね」

「……は?なに急に」


友達になろうって言葉1つで、誰とでも友達になれると思ってた。


そんな私を、初めて拒絶した佐倉。だけど、ちゃんと向き合ってくれてるのが伝わってくる。

少しずつ、少しずつ距離が縮んでいくのも楽しいことだって佐倉が教えてくれた。


「佐倉といると、今まで知らなかった景色が見えるよ」

「なんだそれ」

「ん〜?簡単に言うと、楽しいってことかな」

「……俺といて楽しいとか言う女なんて、お前くらいじゃねぇの」


”変なやつ”


そうボソッと呟いた佐倉の顔は、やっぱり赤い。


「私くらいかもしれないよ?だから、大事にするのがオススメ」

「厚かましいやつだな」

「へへ。あと、私には触られても大丈夫ってやつ。あれ、今思うと少し嬉しいかも」

「……すげぇ時差。しかも少しかよ」


たわいもない会話の繰り返しで、
いつかそれが私たちの絆になればいい。


「佐倉」

「ん?」

「早く、芽唯って呼んでね」

「……考えとく」