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「言い忘れてたけど、今日1日芽唯は俺の彼女な」

「え、何それ聞いてない!!」



日曜日、水族館の入り口で並んでチケットを買った私たち。


とは言っても、サラッと私の分のお金も弥一が出してくれて、快気祝いなのに!って言った私にヘラヘラと弥一は笑った。



「だから、今言ったろ?ほら手」

「わ、ちょっ……!弥一っ、」



金曜日、放課後に病院まで付き添って、弥一の検査が終わるのを待って。

検査の結果、綺麗に骨がくっ付いてきているとのことで、激しく動かないことを条件に無事、弥一の松葉杖が外れた。


嬉しい気持ちと、日曜日への不安。

複雑な気持ちを抱く私の隣で『これで、日曜日はデートだな』って嬉しそうに弥一が笑うから

断ることなんてできっこなかった。



「ね、もっとゆっくり歩いて!」


私の手を引いてグイグイ進む弥一の手を、ギュッと握ってペースダウンさせる。


「わり、早かった?」

「わ、私はいいけど!弥一、まだ足完璧じゃないんだからね?」

「……っ、ハハッ……芽唯、たまにお母さんみたいだよな」

「も〜!またすぐそういうこと言って」


私は本気で心配してるのに。