いつも、いつも私のピンチに駆けつけてくれた。
優しくて、頼りになって、だけど弱さを抱えてて。


守られるだけじゃなくて、私が佐倉を守ってあげたいって思った。


それは、同情なんかじゃ絶対ない。



「……佐倉!」


背中から歩き出す足音が聞こえて、咄嗟に叫ぶ。


そんな自分に、もう一人の自分が冷静に問う。
"呼び止めてどうするの?"って。


ドクン、ドクン、と鳴り止むことを知らない鼓動。このまま心臓が壊れちゃうんじゃないかって心配になるくらい。



「ん?」


振り向いた先で、同じように佐倉も私を振り返る。なんてことないって顔で、首を傾げた。


私と佐倉の距離は、たったの2mくらい。
数歩歩けば触れ合える距離。


行かないで。


そう思った時には



「待って、佐倉……行かないで」



ブレーキをかけるより先に、気持ちが音になって飛び出していた。


もう、いい子ぶるのはやめにしよう。


どんなに弥一を"思って"たって、佐倉を"想う"気持ちには勝てない。どんなに蓋をしようと頑張ったって、好きって気持ちは誤魔化せない。