もう、我慢すんのやめた



あーあ……。
萌菜のやつ、手伝う素振りもなかったな。

って、それもそうか、テツとのデートのことで頭いっぱいだろうし。


あの2人、上手くいくといいな。
そんなことをぼんやり考えていた私は、ふとあることに気づいた。


「ワーク返却ってことは、取りに行くプラス、配る時間も必要じゃん!やっば……!」


私としたことが、完全に計算ミス!!
教室出たときで既に5分前だったから、もうあと4分くらいしかないわけで……


あぁ!もう!
間に合わない気がしてきた。


急いで階段を駆け下りる。

踊り場でくるりと方向を変えて、さらに階段をもう1つ駆け下り、やっとの思いで職員室のある1階に辿り着いた。



「うぁ、」

「わっ!!」



やや駆け足気味によく確認もせずに角を曲がろうとした私は、向こう側から来た生徒と思いっきり正面衝突して


ドンッと、相手の肩と自分の肩が触れてズキッと痛みが走ったと同時に、思い切り後ろに仰け反った。



あ、転ぶ!!!



そう思って、どうにかバランスを取ろうと試みるけれど、私の体は重力に逆らう気がサラサラないらしい。