もう、我慢すんのやめた



***


HRが終わっても、私の頭の中は明日の弥一の検査と日曜日のことでいっぱい。


早く松葉杖が取れたらいいな、とは思うけど。


明日の検査では松葉杖が取れないことを願ってる私がいて心苦しい。

こんなこと、願っちゃいけないのに。
私ってやっぱり、自分勝手で最悪だ。


弥一とデートすることに、なぜか後ろめたさを感じるのはどうしてなんだろう。


快気祝いくらいに思えって言ってたけど。
……そんなの、無理だよ。



「あれ?芽唯、確か数学係だったよね?」

「え?……そうだけど、って!うわ、1限目数学だっけ?うっかりしてた〜」

「前回集めたワーク、今日は返却するんじゃない?早く職員室行ってきな?」

「あれ、かなり重いんだよね〜。さっきの話は昼休みにじっくり聞くからね!行ってくる」



「いってら!」とヒラヒラ手を振る萌菜に背中を向けて急いで教室を出たのは授業開始5分前。


ここから職員室までは階段を降りたら割とすぐだから、全然余裕で間に合うけど


あの重たいワークの束を持って昇る階段ほど辛いものはないと思っている私にとって、職員室までの道のりは足が鉛のように重い。