「……っ、あんたに会いに来たのは、こんな話をするためじゃない。別れてからも弥一が好きだけど、弥一が幸せになるならそれでいいって思ってた。……だから、弥一が告白したって聞いて複雑だったけど、どこかでホッとしてる自分もいたの。あー、これで弥一は本当に好きな子と幸せになれるって」
「なのに」そう続けて、茉佑さんが1歩私に近付く。
「弥一の気持ち弄んで楽しい?」
「っ、」
「よく他の男と文化祭回れるね。弥一の気持ちは?……私の気持ちは?いいよね、辛い思いなんてしたことないでしょ?ぜんぶ自分の思い通りになって楽しい?」
「私は……!」
弥一の気持ちを弄んでなんてない。それに、私だって辛い思い、たくさんしてきたんだよ。
人知れず、弥一に片思いして。
人知れず、傷ついてきたんだよ。
私だって、
『こんなことなら、芽唯にしとけばよかった』
……散々、悩んで、泣いて、
それでも好きでもがいてきたんだよ。
やっと……、やっと弥一を乗り越えて、好きだなって思える人に出会えたんだから。
私のこと知りもしないのに、勝手なこと言わないで欲しい。


