最近は、勝手にサラッと繋いじゃうくせに。
今日はなんでわざわざ聞くんだろう。


「……なんで聞くの?いつも勝手に繋ぐのに」


別に嫌味を言うつもりじゃなくて。
ただ単に、気になったから。


気付いたときにはそんな言い方になってしまってた。そんな私に、



「……強いていえば、俺の”勝手”じゃイヤだから」



見て分かるくらいムッとした佐倉がボソッと不機嫌そうに呟く。



「ち、違っ!ごめん、気ぃ悪くした?別に悪い意味じゃなくてね?」

「……冗談。ちゃんと分かってる」



そう言いながらも佐倉は振り向かない。私より数歩先を歩いたままの佐倉に、胸がズキッとする感覚。


甘えてばっかりだ。
いつも、佐倉が手を繋いでくれること嬉しいって思ってた。

最近じゃそれが当たり前みたいに思ってて、赤くならない佐倉に”私と手を繋ぐくらいじゃもう赤面しないのか”なんて、ちょっと拗ねてさえいた。


だけど、違うよね。


佐倉はいつだって、頑張って行動してくれてた。
私が弥一を思い出さなくて済むように。私がちゃんと前に進めるように。


いつも、私より私のために



頑張ってくれてたんだよね。