人間に恋をして、住んでいる世界を捨ててまできてしまうなんて。

 私にはそこまではできなかもしれない。


「王妃様の追いかけてきた好きな人って、もしかして国王様ですか? 」

 ノエリがそう尋ねると、ユーリスは少し頬を赤くして頷いた。

「ええ、そうよ」

「すごいですね。好きな人を追いかけてきて、その人と結ばれちゃうなんて」

「そうね。きっと運命だったんでしょうね。貴女とジックニーが出会ったようにね」


 運命。

 この広い宇宙で、異世界の者が出会ってしまい愛し合う。

 ノエリもジックニーに電話をかけたのは、何故かそうしようと思った。

 運命は必ず導きがある。

 心の声に従えば、本当の運命の人に出会える。

 なんて奇跡なんだろう。


 ノエリは感動で胸がいっぱいになった。



「あ、そうだった。ジックニーに、お父様から連絡があったのよ。今夜にでもお城に来てくれるって」

「え? 父さん、地上に来てたんだ。でも今夜なんて急だなぁ」

「ジックニーから結婚したって聞いて、早くお嫁さんに会いたいって言っていたわ。どんな人なのか、すごく楽しみにしていたわよ」

「うん、確かに。結婚の報告したら、すぐにでも会わせてほしいって言ってたから」

「私も、久しぶりにマロンディスとシルビアに会えるから楽しみだわ」

 2人の話を聞いていて、ノエリは戸惑いの表情を浮かべていた。


「お姉ちゃん大丈夫だよ」

 ルキアスがノエリの傍に来て、ニコっと笑った。

「マロンディス伯父ちゃん。女の人には、すっごく優しいんだよ。お姉ちゃんの事、きっとすごく気に入ってくれると思うよ」

「有難う、励ましてくれて」

 純粋なルキアスの笑顔で、ノエリはちょっと安心させられた。