「咲、卒業おめでとう!」
満面の笑みでそう言うのは、私を一番愛してくれて、守ってくれる、かっこいい、
「りゅうちゃん!ありがとう!りゅうちゃんも、おめでとう。」
そう言って、抱きつく二人。
「二人とも、今日もいつも通りラブラブだねぇ」
「ほんと、見てるこっちが恥ずかしい。」
そう言うのは、もなと、花。
そう、私と花は、あの日の翌日、友達になった。
さかのぼること、1ヶ月間前。
「柿崎さん、こんなことを言っても、許してくれないのは分かってる。でも、謝らせてほしいの。本当にごめんなさい。」
今はお昼休み。
てっきりいじめだと思って来たのに。
まさか、これって新種のいじめなのか。
「……す、鈴木さん、頭を上げて」
「え、あ、うん。あの、わたしずっといじめてたでしょう?それ、りゅうの隣にいる柿崎さんが羨ましくてー」
鈴木さんが話してくれたのは、りゅうちゃんが好きで、ずっと私に嫉妬していたからどということ。
「……いいよ、私、もういいよ。だから、友達になってくれないかな?」
こんなことを言うつもりじゃなかったのに。
でも、この言葉に嘘はない。
「……え、本当に?こんな最低な私を許すの?」
「うん。過去の事をいつまでも引きずっているのはいやだし、もう、こんな関係辞めたいし、だめかな?」
「ううん、全然いいよ!ありがとう!」
涙目になりながら、ありがとうを繰り返す鈴木さん。
「じゃあ、咲って呼んでもいい?」
「もちろん!じゃあ、花、ちゃん?」
「んー、私、ちゃん付け苦手だから、花でいいよ!」
「分かった!花!」
そう言って笑いながら話している私達は、前の私達では想像もできないだろう。
そして、今に至る。
「JKも終わりか~、寂しいね」
「花は、メイクの専門学校でしょ?私、花にメイクしてもらいたいな~」
「え、ずるい!花、咲なんかおいといて、私にしてよ!」
「二人ともしてあげるよ!もう、なんでそんなことで喧嘩するかな~」
そんな会話をしている私達をりゅうちゃんは呆れた目で見つめる。
「咲とりゅうはけっこんしてね~、そのために大学行かないんでしょう!」
「私、大学かる見守っとくね~」
もなまでそんなことを言う。
でも、今、私もりゅうちゃんも、体温が1度上がった気がする。
「もう、そんなのじゃないよ!」
こう言っても二人は私達をからかい続ける。
この二人には、お手上げだ。