ハッと目を覚ますと見慣れた天井が見えた。紛れもなく、自分の部屋。

あれは夢だったのか。

あのまま夢が覚めなければ良かったのに、あのまま夢の中で一生を過ごす事が出来れば良かったのに、と思いながら溜息と共に肩を落とした。

「また、“今日”を過ごさなきゃいけないんだ…」

重い体を起こし布団を畳む。
襖を開けて床に置かれた朝食を眺めた。

私も皆んなと変わらない明るい家庭で育つはずだった。

朝起きて「おはよう」を言って家族で食卓を囲んで「行ってきます」を言うの。
帰ってきたら「ただいま」を言って家族で美味しい夕飯を食べて「おやすみ」を言って寝る。

そんな当たり前な日常が私にも約束されていたはずだった。

(……はずだったのに……)

赤い目で生まれて来なければ私は今頃幸せだったのに、と毎朝必ず思う。

赤い目は呪いの証。

赤い目は鬼の証。

赤い目はーーー