ーーー鈴の音と柏手を打つ音が聞こえる。 ここは、何処なんだろう。 何かを頭に被っているようで視界が頗る悪い。 正面には誰かが座っている。 (…男…性?) 濃藍色の着物に紺瑠璃の羽織りを着た、鬼のーーー 「諸々の禍事罪穢れをーーー」 何かを唱え始めた時、眩い光が私たちを包んだ。 瞬間、男が愛おしそうにこちらを見る顔が見えた気がした。