もう離さないでね




海に着いて見るともう寒い時期だからか全然人がいない
でも今の私には人がいない方が良くて


走ったせいか少し疲れてしまって制服が汚れるのも気にせず砂浜で腰を下ろした



もう日が暮れる海はとても綺麗で泣くことも忘れて海に溶けていく太陽を見ていた










それからどの位たっただろう
気づくと暗くなっていて街灯の光が道を照らしている
何時なんだろうとスマホを見てみると
Line 208件 不在着信27件



お母さんに心配かけちゃったなと思いながら見てみるとお母さんの他に佑の文字


走って逃げちゃったしなと思いながらお母さんに返事をしようと思った時


♪〜


お母さんかなと思い相手を見ると











どうすれば……とりあえず出よう


「……もしもし」
「今どこにいんの!?!」
「それは…もう間部くんには関係ないよ」
「関係あるに決まってんじゃんしかもなんで苗字で呼ぶの?」
「だってもう私達別れたじゃん」
「俺は納得してないし話を聞いてよ」



話してるとやっぱり涙が溢れてきてしまう




「ごめん…ちょっと気持ちの整理させて切るね」
「あ!ちょっ…」
ツーツーツー



とりあえずお母さんに連絡して帰ろう
家に着くまでに心を落ち着かせないと心配かけちゃう









帰りの電車代は少しギリギリだったけどやっと最寄り駅に着いた
駅から歩くようだなーっと思いながら駅を出ると
佑がいた

「話をさせてくれない?」
「もう話すことなんて…」
「ごめん聞いて?」
「うん…」


「教室であーいう風に言っちゃってごめん」
「うん…」
「友達の手前正直に言うのが恥ずかしくなっちゃって」
「うん…」
「それと最近一緒にいられなくてごめん」
「うん…」
「短期バイトをしてて」
「そうなの?でも何のために」
「本当は明日の記念日に渡そうと思ってたんだけどこれ」
「え!これ私が欲しがってたネックレス…」
「付き合って半年になるし何かあげたいなって思って」
「ありがとう…」
「喜んでもらえて良かった」
「でも私何も用意できてないし早とちりして逃げちゃった」
「バイトが入ってて一緒に帰れなかったけど毎日誘ってくれて嬉しかったそれだけで十分」
「うぅ…本当にありがとう明日楽しんで貰えるように頑張るから」
「そうだね楽しみにしてるよ」



普段はクールだけど優しくて少し不器用な彼はそう言うと私の頭を優しく撫でると微笑んでいた
やっぱり笑ってる顔に見とれちゃうな






この後家に帰ってすごく怒られた事は別の話…