運命ノ黒イ糸

見ていた女子生徒たちが悲鳴を上げる。


「危ない!!」


全く動くことができずにいたあたしは、次の瞬間二村先輩に抱きかかえられるようにして守られていた。


「大丈夫ですか!?」


一瞬時間が開いてから、ボールを蹴った生徒が駆け寄って来きた。


「だ、大丈夫です。だから、えっと……」


未だにあたしを抱きしめている二村先輩に、あたふたしてしまう。


「あ、ごめん」


そう言って慌ててあたしから身を離す二村先輩に、ホッと胸をなで下ろした。


「お前、もっと気を付けろよ」


「ごめん。ほんっとうに悪かった!」


二村先輩に怒られて、ボールを蹴った生徒は深々と頭を下げて来た。


「二村先輩、ありがとうございます」