運命ノ黒イ糸

☆☆☆

3人目の相手は3年2組の二村弘明(ニムラ ヒロアキ)先輩だった。


予定通り昼休みを使って赤い糸の先を探していると、グラウンドにたどり着いた。


そこでサッカーをしている二村先輩を見つけたのだ。


グラウンドでボールを追いかける二村先輩の左小指には、少し黒くなって来た糸がしっかりと結ばれている。


それを見た瞬間、あたしは心の中でガッツポーズを作った。


二村先輩はサッカー部のエースで、人気が高い。


あたしも、密かに憧れている相手だったのだ。


カオルや草山君みたいな王子様系とは違うけれど、カッコいい。


今も二村先輩目当ての女子たちがグランドの端に集まってきていた。


二村先輩が相手なら、あたしもすぐに好きになれそうだ。


そう思った時だった。


1人の生徒が蹴ったボールがこちらへ向けて飛んできた。