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翌日、いつもよりも早い時間に目が覚めた。


ベッドの上でしばらく呼吸を繰り返し、そっと右手を眼前まで持ち上げた。


「やった……!」


小指に結ばれている糸を見て、思わずガッツポーズをする。


まだボーっとする寝起きの頭のままベッドを下りて、電気を付けた。


昨日切った糸が、また結ばれている。


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


やっぱり、これはあたしが思った通りの糸なんだ。


切れば切るほど、自分好みの相手に近づく事ができる最高の糸!!


よく見ると、昨日までの糸よりもまた黒くなっているように見える。


けれど、そんなこと今はもうどうでもよかった。


これであたしと大田君の糸は切れて、また違う誰かと繋がることができたのだ。


きっと、高原より、大田君より、もっともっと素敵な人と繋がったに違いない!


そう思うといてもたってもいられなくて、あたしはすぐに制服に着替えたのだった。