最初から気さくに、なんでも会話できるような相手なんてそうそう見つからないだろう。


だけど、運命の相手ってきっとそういう人のことを言うんじゃないかな?


あたしはスマホ画面を見つめた。


今日の誘いをオッケーしようと思っていたのだけれど、その文章を消して打ち直して行く。


《朱里:ごめん。今日は予定があるから早く帰るね》


そんな嘘のメッセージを大田君へ送る。


「ちょっと朱里、いいの?」


それを見ていた佐恵子が慌てて聞いて来た。


「大丈夫大丈夫。王子様はもっと他にいるんだから」


例えば……草山くんとかね?


あたしはそう思い、教室内で友人と談笑しながらお弁当を食べている草山くんに視線を向けたのだった。