運命ノ黒イ糸

「今日はいないみたい」


佐恵子がホッとした声でそう言った。


あたしも、ひとまずは安心した。


昨日みたいに待ち伏せをされていたら、あたしに逃げ道はない。


「朱里おはよ~。今日は彼氏来てないじゃん」


クラスメートからそんな事を言われて「彼氏じゃないってば!」と、半ば本気で言い返す。


高原がそばにいなくても、しばらくはその話題が付いて回りそうだ。


あたしは自分の席につき、大きくため息をはいたのだった。