運命ノ黒イ糸

あれだけ頑丈だった赤い糸はスルリとほどけ、床に落ちると同時に消えて行った。


「消えた……」


あたしは息を飲んでそれを見つめる。


左の小指には糸が巻かれていた感触も残っていない。


「な……なぁんだ! 運命の赤い糸って切れるんじゃん!」


ホッとしたと同時にそう言い、大きな声で笑った。


これから一生高原に付きまとわれて、いつしか高原の事を好きになってしまって、結婚までしてしまうのかと思っていた。


でも違ったのだ。


赤い糸は切れて、消えた。


もう、あたしと高原は結ばれてなんかいないんだ。


そう思うと背中に羽が生えたような気分になった。


「よかった! これで本当の運命の相手を探せるよね」


あたしはそう呟いて、気分がいいままベッドに横になったのだった。