「ちゃんと言うって?」


「好きじゃないってことを、伝えなきゃ」


それはそうかもしれない。


でも、あたしは高原に好きだなんて言っていないのだ。


向こうが勝手に付きまとっているだけなのに、どうしてあたしが高原に気をつかってやらないといけないんだ。


そんな気分になって、黙り込んでしまった。


「あ……」


そんな調子で教室までやって来たとき、4組の高原が入口の近くに立っているのが見えた。


自然と足が止まってしまう。


近づきたくない。


そう思うのに、向こうがあたしに気が付いて近づいて来てしまった。


少し歩くだけで高原の巨体は大きく揺れる。


まるで、地震が起きてしまいそうだ。