翌日、目が覚めた時もあたしの左小指には赤い糸がしっかりと結ばれた状態だった。


いつも通り家を出て、いつも通り学校へ向かう。


しかし、赤い糸について触れて来る人は誰1人としていなかった。


やっぱり、この糸はあたしにしか見えていないのだ。


「朱里、昨日は大丈夫だった?」


下駄箱で靴を履き替えていると、佐恵子がやってきてそう声をかけてきた。


「うん……まぁね」


あたしは曖昧に頷く。


正直、高原のことが気持ち悪くて仕方なかった。


ちょっと会話をしただけで、あそこまであたしに入り込んでしまうなんて、考えてもいないことだった。


これが思い込みの強いストーカーというものかもしれない。


「高原君にはちゃんと言った方がいいよね」


階段を上がりながら佐恵子がそう言った。