油ぎった顔、少し動くだけで息が切れて鼻息が荒くなっている。


「だ、大丈夫……」


あたしはそう言って後ずさりをした。


自然と、目が高原の小指へと向かう。


あたしと同じ左手の小指に赤い糸がしっかりと結ばれている。


それを確認した瞬間全身に鳥肌が立った。


こんなヤツがあたしの運命の相手?


高原と手を繋いで、高原とキスをするの?


無理……!!


咄嗟にあたしは出口へ向けて駆け出していた。


もう一秒たりとも高原の顔を見ていたくない。


食堂の出口まで走って来たあたしは、ようやく足を止めて呼吸を整えた。


「どうしたの朱里!?」


あたしに追いついた佐恵子が驚いた声でそう聞いて来た。