運命ノ黒イ糸

あたしはブンブンと左右に首を振った。


こんなのなにかの間違いだ。


赤い糸の先にいるべきなのはカオルのはず……。


「ちょっとごめんね。そこ通らせてくれる?」


そんな声が聞こえて顔を向けると、そこには3年1組の相田葉子先輩がトレイを持って立っていた。


学校1の美人ということで、葉子先輩のことを知らない生徒はいない。


「あ、ごめんなさい」


すぐに身を避けたところで、葉子先輩の後ろからカオルが歩いてくるのが見えた。


あたしと視線がぶつかった瞬間、気まずそうに目を逸らされてしまった。


昨日まであれだけ仲が良かったあたしたちなのに……。


そう思うと、また胸が痛んだ。


そして驚いたことに、葉子先輩とカオルの2人は並んで座り、食事をし始めたのだ。


その光景に唖然として口が開いて行く。


2人が知り合いだなんて、あたし聞いてない。


カオルの好きな人って、葉子先輩なの?