運命ノ黒イ糸

お昼を食べていないから、食堂の匂いに反応してしまう。


早く運命の相手を見つけて教室へ戻ろう。


そう思って歩いていた時だった。


不意に赤い糸が途切れているのが見えたのだ。


それは誰かの小指に硬く結ばれている。


心臓がドクンッと大きく跳ねた。


いた……!!


そう思い、顔を上げて相手を確認した瞬間、その場で硬直してしまった。


そこに立っていたのはさっき男子たちにイジメられていた高原その人だったのだ。


高原は買い間違えをしたため、再び行列に並んでいる所だったのだ。


「どうしたの朱里?」


佐恵子にそう声をかけられてハッと我に返った。


あたしの運命の相手が高原?


そんなのあり得ない!