運命ノ黒イ糸

☆☆☆

「朱里、おはよぉ」


机に座って雑誌を読んでいると、登校してきた佐恵子がそう声をかけてきた。


「おはよ」


「よかった。思ったより元気そうで」


佐恵子はそう言い、ホッとしたようにほほ笑んだ。


「まぁね、いつまでも凹んでるワケにはいかないからね」


そう言ってあたしは笑って見せた。


本当は、今朝の出来事で気持ちは沈んでいた。


けれど小指に現れた赤い糸のことは気になったままだ。


「あのさぁ佐恵子。ちょっと変なこと聞いてもいい?」


「変なこと?」


「うん。この指になにか見える?」