運命ノ黒イ糸

☆☆☆

制服に着替えて外へ出てみると、赤い糸はずーっと先まで続いていることがわかった。


自分の心臓がドクドクと跳ねているのを感じる。


これが本物の赤い糸なら、あたしのこの先に王子様がいる……?


「あら、朱里ちゃんおはよう。今日は早いのね」


玄関先で赤い糸を見つめて突っ立っていると、隣の家のおばさんが顔を出した。


手にはゴミ袋を持っている。


「あ、おはようございます」


ペコリと頭を下げて、歩き出した。


「最近あの男の子見かけないけど、元気? あの子本当にカッコよかったわねぇ」


アイドル好きだと公言しているおばさんはそう言いながら、家の前のごみ収集所へ向かう。


カオルのことを言っているのだ。


カオルは何度かあたしを家まで送ってくれたことがあり、隣のおばさんも知り合いになっている。


「また今度連れて来てね」


イケメン好きなおばさんはあたしへそう言い、スキップでもするように家へと戻って行ってしまった。