輝明が近づくだけで女性の目が恐怖で歪んでいる。


どれほどの暴力を加えられたのかわからない。


いつからここに監禁されているのかもわからない。


ただ、糞尿の匂いは間違いなくゴミ袋へ入れられた2人から漂ってきていた。


「海外赴任中だって……」


「嘘だよ。本当のことを言ったら、みんな逃げて行くから」


輝明は笑顔を絶やさず、当然のことのように答えた。


背中に冷たい汗が流れていく。


ここにいちゃいけないとわかっているのに、行く手を阻まれたまま身動きができなかった。


輝明が後ろ手に部屋の鍵を閉める音が聞こえて来た。


「お願い……許して。輝明とは絶対に別れないって約束する! だから、ここから出して!」


「ダメだよ」


輝明の両手があたしに伸びる。