運命ノ黒イ糸

輝明が特定の彼女を作らない本当の原因は、きっとそれだ。


付き合っても愛情表現だと勘違いして相手を殴るから、長く付き合うことができないのだ。


「違うよ輝明。それは愛情じゃない!」


「俺の両親のやったことが違うっていうのか」


スッと目を細めてそう言う輝明。


「だって――」


『それは虐待だよ!』


そう言う前に、殴られていた。


頬を打つ音が響いて横倒しに倒れる。


顔をしかめるあたしを見て、輝明は恍惚とした表情を浮かべた。


「こうして、何度も好きだって表現するのにみんな俺から離れて行く」


「輝明……。暴力をやめれば、彼女たちだってずっと一緒にいてくれたよ?」


「暴力? それは悪いことだろ? 俺がしているのは愛情表現だ」


輝明の言葉に涙が溢れだしていた。