運命ノ黒イ糸

顔や、服から出る場所に傷なんて1つもないのに、輝明の体はアザや切り傷、火傷の痕などが無数にある。


「なに……これ……」


思わず、傷の1つに手を伸ばしてそう聞いた。


触れた部分は火傷をしたのか、皮膚がひきつってケロイド状になっている。


「両親がやってくれたんだ」


輝明は傷を愛しそうに眺めてそう言った。


「両親って……。いつから?」


「ずっと前から。幼稚園の頃くらいからかな? 愛してるからだよって言いながら、叩いたり蹴ったりしてくれるんだ」


「嘘でしょ……」


輝明はそれが愛情であり、虐待だと疑わずに生きて来たのだろうか。


「だから、付き合った子たちにも同じようにしてあげるんだけど、なかなか伝わらないんだよね」