運命ノ黒イ糸

その質問にあたしはグッと言葉に詰まった。


本当だと言ってもきっと輝明は別れてくれないだろう。


「あたしの運命の相手は、別の人だったの」


あたしは勇気を振り絞り、そう言った。


輝明の顔から徐々に笑みが消えて行く。


冷たいほどキレイな顔であたしを見ている。


「それなのに、あたしはその相手が嫌で、運命の糸を切った」


そう言うと、輝明は黙って歩き出した。


あたしはその後をついて歩く。


1人目も2人目も、3人目も切った。


そしてたどり着いたのが、輝明だった。


そう説明したとき、一軒家の前に到着していた。


「ここが俺の家」


そう言って玄関を開けて、入るように促す輝明。


入っちゃダメ!


本当的にそう感じて、あたしはその場に棒立ちになってしまった。