「もう! 朱里が運ばれてきたって聞いて、気が気じゃなかったんだよ!?」


「ご……ごめん」


泣きじゃくっている佐恵子に驚き、上半身を起こそうとしたけれどうまく力が入らなかった。


点滴の影響かもしれない。


「佐恵子。寺島は?」


「大丈夫。意識が戻って、脳に異常もなかったよ」


それを聞いた瞬間、自然と涙が流れおちていた。


よかった……。


佐恵子の運命の相手が死んでしまったらどうしようかと、本気で心配していたのだ。


「それよりも、なんで小指を切り落とすなんて無茶なことしたの!」


佐恵子は泣きながら怒っている。


「ごめん。でも、もうこれ意外に方法がなくって……」


小指を失うことで運命を元に戻すことができるなら、簡単なことだった。


「やめてよね。寺島くんがこんなことになって、朱里までいなくなったらあたしは一人ぼっちになっちゃうんだよ?」


涙をぬぐいながらそう言う佐恵子に、あたしはもう1度「ごめんね」と、謝ったのだった。