グッタリと肩を落としたまま、教室に到着していた。


今日も輝明に頼まれてお弁当を作ってきたけれど、食べてもらえるかどうかわかあらない。


でも、昨日殴られたことを思い出すと、断る方が怖かった。


「ねぇ、最近寺島ってかっこよくなってきたよね」


教室へ入ってからそんな話声が聞こえてきて、あたしは視線を向けた。


数人の女子生徒たちが集まってコソコソと噂話をしている。

その先を見て見ると、佐恵子と寺島が楽しそうに会話をしていた。


クラスメートたちの言う通り、最近寺島はあか抜けてきた感じがする。


佐恵子と付き合い始めて、見た目に気を使い出したのがわかった。


佐恵子の方も、普段から薄くメークをするようになって男子たちからの評判が上がってきていた。


「あ、朱里おはよう! 今日は遅かったね」


あたしに気が付いた佐恵子がそう言って駆け寄って来た。