自室へと駆け戻ったあたしはすぐに佐恵子に電話をかけていた。


たった数回のコール音がもどかしい。


『もしもし? どうしたの?』


そんな声が聞こえたと同時に、あたしはまくしたてるように話はじめていた。


「佐恵子! 赤い糸が切れないの!」


『え? 切れないってどういうこと? また糸を切ろうとしたの?』


「そう。今日の昼間輝明に殴られたの。そんな相手運命の人じゃないでしょ? 

だから切ろうと思ったんだけど、全然切れないの!」


『殴られたの? 大丈夫? ちょっと落ち着いて』


落ち着いてなんかいられなかった。


あたしと輝明の関係はどうしても切らなければならない。


付き合い始めてから一か月も経過していないのに殴られるなんて、論外だ。


「どうしよう。どうしたらいいと思う!?」


『わからないけど……。もう1度神社へ行ってみるのはどう?』


神社……。