輝明はやっぱりカッコイイし、一緒にいれば優越感に浸れる。


でも、当初感じていた胸のドキドキはちょっとずつ消えて行っている気がした。


「帰るよ?」


そんな声が聞こえて顔を上げると、寺島が佐恵子を呼んだところだった。


佐恵子はたったそれだけでポッと頬を赤らめている。


「じゃあね朱里。また明日」


そう言って寺島の元へと駆けて行く。


その姿は本当に幸せそうに見えた。


「なんで……?」


あたしは鞄を持ったまま、そう呟いたのだった。