輝明は思っていた王子様とは少し違うようだった。


「明日も弁当頼むな」


放課後、あたしの机の前まで来てそう言う輝明にあたしは頷く。


他の子たちからは羨ましそうな声が聞こえて来る。


でも、あたしの心はちっとも踊らなかった。


あれから毎日のように輝明のお弁当を作ってきている。


輝明は『美味しい』と言ってくれるけれど、それが本心からではないのではと思い始めていた。


毎回毎回、ニッコリと王子様スマイルをして女の子の望む言葉を投げかける。


そうしておけばいいとわかっている雰囲気なのだ。


「どうしたの朱里? なんか元気ないね?」


沈んでいるあたしに気が付いて佐恵子がそう声をかけてきた。


「ちょっとね……。やっぱり付き合ってみないと相手のことってわからないみたい」


あたしはそう言い、帰る準備を始めた。


「そりゃそうだよ。草山くんと上手く行ってないの?」


「う~ん……どうなんだろう?」


あたしは首を傾げた。