日曜日の朝、目が覚めると左小指に糸が結ばれていた。


それは運命の赤い糸。


けれど、その糸はもう赤とは呼べず、真っ黒なものに変化していた。


少しの気味の悪さを感じながらも、これでカオルと結ばれることができたかもしれないのだという、嬉しさの方が勝っていた。


早く糸の相手を探しに行きたい。


だけど今日は日曜日で学校は休みだった。


いっそカオルの家まで行って確認してみようか。


そんなことを考えていると、ナイトテーブルに置いてあったスマホが光っているのが見えた。


確認してみると、二村先輩からの別れようというメッセージだった。


伝えたい内容だけが書かれた簡素なメッセージだったけれど、あたしはなにも感じなかった。


本物の王子様と結ばれるためには、別れてくれない方が困るからだ。


《朱里:わかりました》


あたしは、ただそれだけの返事をしたのだった。